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「プール」

松久淳+田中渉/著 小学館/刊 定価1100円(税別) 2002年11月27日発売

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 伝えたい事があります。同じ時を生きているあなたに伝えることが大切なんだと思う――。

(版元より) この作品は、ファンタジックで大人の童話といった趣の「天国の本屋」シリーズとは異なり、90年代後半と80年代前半、響き合うふたつの時代が、映画のカット割りのように交互に挿入され続け、次第に深く静かに紡ぎ合わされていく恋愛小説です。

 「さまざまな色を塗り重ねるようにして、10年近くかけて、ずっとこの物語を作り続けてきました」と、著者が誠実に向き合いながら、完成させたこの作品をぜひお読みいただき、ご興味いただけるようであれば幸いです。何卒よろしくお願いいたします。

 

 

 ある日、突然、ひとり暮らしをしている叶井瑞江に差出人不明のこんな手紙がポツリポツリと届きはじめた。しかも、その手紙はいずれも、縦書きの便せんに水性ボールペンで書かれ、最後のページの左三分の一ほどがきれいに切り取られていた。

 彼女には、不思議な力があった。それは例えば、あ、誰々から電話がかかってくるな、と感じた途端、その相手から電話がかかってきたりするものだった。自動車メーカーを辞め、アメリカ放浪中の友人・広戸壮一からの電話も、まさにそんなタイミングでかかってきた。

 広戸の頭の片隅には、高校時代に付き合っていた同級生・薫の存在があった。ところが、高校卒後・・・。ふたりはもう何年も会っておらず、広戸は、彼女がどこで何をしているのかすらわからなかった。

 そのころ、瑞江の前に、斑目昌彦という男性が現れる。斑目はガン告知をされ、余命幾ばくもない状態だった。彼は、瑞江や彼女の友人たちと日に日に打ち解けていった。

 瑞江は、ある日、何通目かに届いた謎の手紙を読みながら、これが、誰に向かって書かれたものなのか、理解する。

 そして、もう一通――。瑞江のもとに、まったく別の手紙が託された。

 

 

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